趣味は小園芸                       

  趣味は?と問われれば「軽登山と小園芸」と最近はいつも答えが同じになったが、軽登山はともかく小園芸の主役はもちろん家内で、私の役割は力仕事と雑用だ。 今家内の思い入れはプリムラ・マラコイデス、 プリムラとはサクラソウサクラソウ属の総称とあり、世界で約500種、日本にサクラソウクリンソウなど約20種分布するようで、プリムラと言う時このうち外来種を指すと言う。ラテン語で最初を意味し、春一番に咲くこの花の習性にちなむ、とある。 マラコイデスはオトメザクラとも言い中国雲南省原産、冬から初春に細い花茎を数本出し、赤・桃・白色などのサクラに似た花を散形状に数段つける。 五〜七月に播種するが種子が微細なので夏の暑さに弱く、栽培には技術を要すると言われる。         
  我々の経験では、丁度お正月頃に花がポツポツと咲き始め、徐々に増え3月末に満開となって4月末には枯れ落ちる、そのまま放っておくと微細なこぼれ種が6月末に発芽するが、そのうちに葉が15mmぐらいになって密集してくるのでポリポットに一つづつ植え付ける。 9月末になるとポリポットから溢れるぐらいに成長するので、大鉢に植え替えたり地植えにしたりする。 この間難敵は気温であり30度以上とか直射日光で死滅し易く、庭の一隅に遮光ネットを張る必要があり、夏休みの軽井沢避暑にはポリポットの彼らを同伴する。 この難題を乗り切り爽やかな季節になると、もりもりと成長し年によっては年末から花がつき出すのである。 今年はやや気温の低い夏だったのでポリポットのマラコイデスにとっては安全だったのだが、油断せずもうしばらく注意が必要だ。腐葉土や培養土を買って来たり、昨年使った鉢の土の再使用など、今家内は植え替えの準備に大童だ。 
  今年は今日秋分の日を一日庭掃除に当てた。 8月にシルバーセンターに頼んで植木の剪定は終わっているので、草取りが私の主な仕事である。 完全防備をして蚊取線香を身に付け、植木の下に隅々まで侵入する。 ドライバーを一つ潰して草取りに使うのは出来るだけ根まで掘り出して雑草を取り除く為だが、二週間もすると又元に戻るような気もする。 芝生の中に混在している雑草を取り出すのはなかなか時間が掛かるが、一通り終わって最後は植木への除虫剤スミチオンの噴霧である。 昔は手漕ぎの噴霧器だったが、今はもちろん電動だ。 改めて我家の植木・花を確認してみると、柊(ひいらぎ)・寒椿・紅葉・花水木・金木犀・槇・梅・南天・平戸つつじ・五月つつじ・小手鞠・薔薇・牡丹などであり、中には毛虫が大発生するものもあり、放っておくと新芽が全滅する事もあるので噴霧は欠かせない。 私は我家の花水木が、花は真っ白で青空に映えて、一番好きだが、今は赤い実をつけ葉は乾燥して色づき始めている。 それも又風情がある。 集めた雑草は大きなポリ袋一杯になって一件落着である。
  夕食が済んで外も真っ暗になると、めずらしい事に鈴虫が鳴き始めた。 場所を確かめると梅の木のようで、2、3匹がリーン、リーンと鳴き競っている。しばらく続いていたが、いつしかそれもぴたりと止んで、一日が終わった。