2008-01-01から1年間の記事一覧

明治人柴五郎の生涯

掲題は村上兵衛著「守城の人」(光文社1992、文庫本2002)の副題、文庫本では774頁にもなる大著だが、現代史の復習には恰好の名著であり読書の秋に相応しく一気に読了した。筋書きがほぼ推測出来るので、目次を適宜選んで記すと、会津武士の子・鳥羽伏見の戦い…

渡辺利夫氏の「新脱亜論」                     

掲題は文春新書の新刊であるが、拓殖大学学長渡辺氏は1939年生まれ、筑波大学教授・東京工業大学教授を経ての現職、主な著書に「成長のアジア 停滞のアジア」(吉野作造賞)・「西太平洋の時代」(アジア・太平洋賞大賞)・「開発経済学の時代」(大平正芳記念賞)があり…

限られた日本の「裁量の余地」−その2       

新刊「暗流」の最終第7章は「中国の台頭、日本に残されたシナリオ」である。以下著書からの抜書きである。前章迄の考察で、米中関係の行方が日本の進路に大きな影響をもたらす現実が浮かび上がって来た。視点を21世紀半ばに迄伸ばし、超長期で米中日関係を占…

限られた日本の「裁量の余地」−その1           

今年1月に日経新聞から出版された、秋田浩之著「暗流」は、アジア太平洋の国際関係に関心を持つ者にとって格好の教科書である、と書評にあったからではないが、「米中日外交三国志」という副題に釣られて通読した。「中国の大国化に伴い深く静かに変化する米…

立山室堂から「一ノ越」往復                

立山トンネルトロリーバスで室堂駅(標高2450m)に10:30到着。地図には室堂ターミナル・ホテル立山とある所。簡易アイゼンを付けて一ノ越に向かう。水平距離1.5km、標高差250mで案内書には往1時間半・復1時間とある。スタート前が一番上の写真、背景はもちろん青空にくっきりと浮き上が…

黒四(黒部川第四発電所)ダム                

安曇野市穂高のリゾートハウスに一泊した翌朝7:30出発、糸魚川街道147号を北上し大町市から大町アルペンラインを行き一時間弱で黒部への入り口扇沢に着く。8:30発の関電トンネルトロリーバスで赤沢岳の直下を6km行くわけだが、途中難工事の象徴として80mにわたる大破砕帯の説明を…

安曇野「桜の光城山」               

4月29日早朝6時に自宅を出て名神・中部・長野自動車道を行き、豊科ICで降りる。JR篠ノ井線の田沢駅で道順を聞いて「光城山」へ向かう(地図中央下方)。事前調査では山麓に車を置いて山上までの桜の回廊を歩く筈だったが、裏道を行けば頂上まで車で行けるよう…

11 沖縄集団自決軍命令の有無

集団自決を強いたと記述され名誉を傷つけられたとして、名誉毀損による損害賠償・出版差止め・謝罪広告の掲載を求めて、集団自決から六十年後の平成十七年八月、大江健三郎と岩波書店を訴えた「沖縄集団自決冤罪訴訟」に対し、今年三月二十八日大阪地裁は、…

再度の霊仙山                              

新幹線からよく見える山でもあるし「一度機会があれば」という候補でもあったので、昨年11月24日、鈴鹿山脈最北端の霊仙山(1084m)に登ったが、下りて来て休憩した山小屋のおじさんの話によると、「お宅らの今日のルートではなく、西南尾根を行くと福寿草の大…

浄土宗総本山・知恩院 (冬の京都-2)

午前中の東寺散策の後、国道1号を四条通迄北上し、右折して鴨川を越えると八坂神社に来る。南禅寺・平安神宮が近いが、今日は知恩院のみとし、まず暖かいお蕎麦で腹ごしらえをする。長い石段を登って境内奥迄行き、非公開文化財特別公開の「経蔵」に入る。こ…

真言宗総本山・東寺(冬の京都-1)                

昨日の降雪も止み快晴の日曜日となったので、急遽家内と二人車で京都に向かい東寺を訪ねる事になった。京都南ICを降りて国道1号をまっすぐ北上し九条通りにぶつかったところが目的地である。800円の拝観料で中に入ると、この二ヶ月程8ヶ所10寺院を対象に非公…

世界の原子力発電ラッシュ・その2

「世界は今原子力発電ラッシュ」と題する短文を丁度2年前に書いたが、今年1月20日の日経新聞朝刊に「原発ラッシュ、新興国熱く」との見出しで、世界各国の原発開発計画が報じられていた。それによれば世界の既存原発は439基、建設中・計画/構想中は36ヶ国349…

10 福寿草の山々

[その一:藤原岳] 春に行きたい山の定番は「福寿草が満開の藤原岳(一一七一m)」と言われているそうで、以前から家内の勧誘を受けてはいたものの、標高差一一〇〇mは昨今私には容易ならざる高さであり、やや逡巡していたのだが、明日は好天のようだし、今…

石炭ガス化複合発電(IGCC)実証機  

電力9社70%・政府30%の分担で1999年から進められて来た「空気吹き噴流床石炭ガス化発電プラント」実証機プロジェクトは2009年が最終年となるのだが、常磐共同火力(株)・勿来発電所構内で2007年後半から行われている25万KWの実証試験を昨年末に見学する機会が…