黒四(黒部川第四発電所)ダム                

 安曇野市穂高のリゾートハウスに一泊した翌朝7:30出発、糸魚川街道147号を北上し大町市から大町アルペンラインを行き一時間弱で黒部への入り口扇沢に着く。8:30発の関電トンネルトロリーバスで赤沢岳の直下を6km行くわけだが、途中難工事の象徴として80mにわたる大破砕帯の説明を聞きながら、16分で標高1470mの黒部ダムに到着。バスは何台も同時出発なので一挙に大勢の観光客を吐き出し、昨今どこでも同じだが韓・台・中の団体が多い。堤頂を対岸の黒部湖駅まで歩く。途中で撮ったのが下左の写真で、背景はこれから行く冠雪の立山。快晴の青空に映えて美しい。湖面の現在水位は低いが融雪水が増え梅雨時になると満水になるそうで、総貯水量は2億㎥とある。
 ダム建設の歴史は以下の通り。S31.扇沢側から関電トンネル掘削開始、S32.大破砕帯に遭遇7ヶ月かかって突破(裕次郎の「黒部の太陽」)、S33.関電トンネル貫通、S34.ダム本体コンクリート打設開始、ダムと発電所を結ぶ黒部トンネル開通、S35 ダム湛水開始、S36 黒四発電所(ダム下流10kmの地下)1・2号発電機運開、S37 3号発電機運開、S38.黒部ダム完成。 ダムはアーチ式ドーム越流型で高さ186m(国内一位) 、黒四発電所への落差は545m、出力は最大33万kW。黒部川の源流は飛騨山脈鷲羽岳、延長85kmで河口は富山湾の東端。この間関西電力発電所は黒四を入れて10ヶ所で総出力89万kW、北陸電力は6ヶ所3万kW強。黒四ダムは当時の金額で513億円という、関西電力の社運をかけた文字通り世紀の大事業であったわけだが、久しぶりにあらためてその壮挙が偲ばれた。
 黒部湖から地下ケーブルカーに乗る。角度は31°とありかなり急だが5分で黒部平駅に着く。そこから今度は数十人は乗れると思われるロープウエイで大観峰に、そして最後は立山雄山の地下600m辺りを豪快に突っ切る立山トンネルバスで目的地室堂にたどりつくわけだ。この3施設はS40の同時着工だったようで、S46に全線が開通したとあるが、H8にはトンネルバスが廃止され、環境保全の為立山トンネルトロリーバス(無軌道電車)に変わったそうだ。途中に支柱が無い1.7kmのワンスパンのロープウェイに乗っている7分は、周囲の峨々たる山々が望めて息をのむ思い。下右の写真は大観峰から黒部湖を見下ろしたものだが、右奥の冠雪の山が針ノ木岳、左が赤沢岳であり、この赤沢岳の裏が出発地点の扇沢だ。撮影の方向は東南であり午前中は逆光で撮り難かったのだが、この写真は実は帰りに撮ったもの、今日は一日快晴で大儲けをした感じである。