安曇野「桜の光城山」               

 4月29日早朝6時に自宅を出て名神・中部・長野自動車道を行き、豊科ICで降りる。JR篠ノ井線の田沢駅で道順を聞いて「光城山」へ向かう(地図中央下方)。事前調査では山麓に車を置いて山上までの桜の回廊を歩く筈だったが、裏道を行けば頂上まで車で行けるようなので、(桜の回廊もいいがそれにしても350m程度登らなくてはいけないし)それにする事にした。山頂(912m)は満開の桜に蔽われまだ11時前なのに大勢の老若男女が宴会を始めている。西に向かって立つと桜並木の間から常念岳を中心に北アルプスの白銀連山がはるかにだがはっきりと見える。ここから尾根伝いに北にしばらく行くと長峰山(934m)があり、休憩所には川端康成井上靖東山魁夷三氏の写真と共に東山魁夷の「安曇野を想う」文章がかかっていた、いわく「五月の若緑に蔽われた安曇野はなんと美しいことか、上高地から流れ出る梓川高瀬川と合流し犀川となって北に流れる平野の上に高く連なる北アルプスの山々、常念、東天井、燕と長峰山の上で案内人の指し示す残雪や嶺々を仰ぎながら飽かず眺めたひとときが忘れられない」と。これはS45年の5月の事とあり38年も昔なのだが、当時の雰囲気は殆ど変わらずに今でも残っている。市商工観光課のパンフレットには「詩のような時、心なごむ風景、信州安曇野の旅。蒼い北アルプス連峰を眺め、安らぎの情景をどこまでも広げる稲穂の国、安曇野。野辺をきらめかせる清冽な水の流れ、風にゆれる山野草、小径でつつましく微笑む道祖神。かつて、この豊潤な平野を見渡す地で、川端康成氏、井上靖氏、東山魁夷氏は一堂に会して、「残したい静けさ美しさ」と感嘆したと言われます。」とあるが、決して誇張でも何でもない。安曇野唱歌「早春賦」のふるさとでもあり、「春は名のみの風の寒さや・・・・」と聞こえて来そうな感じで正に日本の原風景を代表する地である。