2006-01-01から1年間の記事一覧

安倍政権の評価と展望             

屋山太郎・古森義久らの論説を参考にして私の所見をまとめると以下のとおりである。 1. 小泉以前は五当三落(5億円なら当選、3億円では落選)と言われたように金権体質の議員が多い時代だったし、外交面では中国へ巨額のODAを出すばかりか、これを利権化してし…

これからの日本の政治経済          

国際エコノミスト・白鴎大学教授今井澂氏の掲題の講演概要は以下のとおり。 1)今年7月のテポドン発射は小泉訪米中に起こったが、安倍官房長官の采配は水際立ったもので、国連安保理事会の制裁決議まで持って行けたのは大成功だったし、ブッシュの安倍評価は…

5 大雪山を歩く  

大雪山国立公園は北海道の中央部に位置し、東西五十km・南北六十kmの範囲内にある。お鉢カルデラ(爆裂火口の凹地)を形成する大雪火山群、今も噴煙をあげる十勝岳を主峰とする十勝岳火山群、然別湖(シカリベツ)周辺の然別火山群、及び非火山性の石狩岳山…

 靖国参拝是非論の結末                        

電撃的な安倍首相の中国訪問だったが、「戦略的互恵関係」というこれまでの「失われた」五年間を忘れさせるような言葉に中国側が即座に応じるところまで交渉は熟していたようで、それには水面下で早くから中川秀直(現自民党幹事長)、二階俊博(現自民党国対委…

21世紀型企業が日本に生まれるか          

早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授・野口悠紀雄氏の「日本経済のゆくえ」と題する講演があった。世上よく景気回復が確実になったと言われるが、本物でない、という事であった。 (1) 景気の現状:原料と素材産業に偏った景気回復である。リストラ努力が…

一木造りの名宝                      

京都願徳寺所蔵の国宝・菩薩半跏像(写真右)、滋賀向源寺所蔵の国宝・十一面観音菩薩立像(写真1)をはじめ、国宝・重文45体を一挙公開との広告を見て、10月はじめの土曜日、東京国立博物館平成館に出掛けた。「仏教を信仰した国の中で、日本ほど木で仏像を…

安倍内閣人事評                

閣僚人事が発表された翌日、元細川総理特別補佐・元経済企画庁長官・現在福山大学教授田中秀征氏の講演会があり、氏は宮沢元総理の側近でもあって、気に入らない発言が多く今回も期待はあまりしなかったが、予想外に安倍人事を高く評価していたので、以下に…

中国の国家戦略と日本                  

元防衛庁・防衛研究所・研究室長で元杏林大学教授、中国問題の権威である平松茂雄氏の掲題の講演を以下に要約する。結論は『中国は建国以来の50年間に、米国や旧ソ連などの大国と対等に発言できる地位の確立を目指して、まず核ミサイル兵器を開発し、次いで…

英国兵422人を救助した駆逐艦「雷」艦長         

新聞広告で興味をそそられ書店で手にとってみると、裏表紙は「ジャワ海を漂流中の英国兵の写真」で、書名は「敵兵を救助せよ!」、著者の恵(メグミ)隆之介氏は元海上自衛隊士官となっている。早速図書館で借りてきたが、第6章スラバヤ沖海戦が話の中心だ。大東…

4 パール博士顕彰碑に思う

東京裁判に関する参考図書の一つ「パール判事の日本無罪論」(田中正明著・小学館文庫)の二四七頁に、一九九七年京都東山に建立されたパール博士顕彰碑の写真が載っている。いつか行ってみようと思っていたが、今日そぼ降る雨の中それが実現し、京都駅から…

小泉純一郎論                      

新刊「ニヒリズムの宰相・小泉純一郎」(御厨貴東大教授著、PHP新書)は、序章:三つのタブー(憲法・天皇・靖国)が無くなった、 第一章:選挙を好感度調査にした男、第二章:数の政治から劇場型政治へ、第三章:小泉内閣の歴史的な意味、第四章:なぜ小泉政治は面白…

松本健一の「Asian Common House」構想

松本健一氏(1946年生まれ、東大経済卒、麗澤大学教授、近代日本・アジア精神史研究の第一人者)は1998年中央公論社から発刊された「日本の近代」シリーズの第一巻「開国・維新」(黒船来航以来15年の動乱、日本人の英知と勇断を描く)の著者であり、保守派…

この国の価値を求めて            

中央公論7月号に「こんな国家で満足ですか」という特集があって、その中で『見失われた「この国の価値」を求めて』と題して京大教授佐伯啓思氏は、今日の日本のナショナリズムの課題を論じている。明確な回答ではないが、戦後状況下でかき消されてしまった固有の価…

日本も自主的な核抑止力を          

息もつかせず読まされてしまった新刊書に出会ったので、取るものとりあえず要旨をご報告したい。1953年生まれ、東大経済学部卒、コーネル大学で米国政治史などを学び、そのまま米国在住で各紙に外交評論と金融問題を執筆している伊藤貫氏著「中国の核が世界…

高山植物のアポイ岳へ             

6月末の金曜13:30札幌から襟裳岬の方角へ家内の運転のレンタカーで向かう。目標はその少し手前のアポイ岳(標高811m)登山である。道央自動車道・苫小牧東ICから日高自動車道へ入る。雲はあるが晴天と言ってよく気温23℃、風速2mと表示されている。日高富川ICか…

南京大虐殺のまぼろし                   

エドガースノーの名著?「中国の赤い星」(1937年)は毛沢東に利用されたプロパガンダに過ぎなかったと今では言われ、沖縄戦集団自決も「旧軍の命令で住民が自決した」とする従来の定説はほぼ否定されているなど、歴史の嘘が明らかにされつつある中で、亜細亜大…

沖縄戦集団自決の真実                     

曽野綾子氏の、沖縄戦集団自決の真相に迫った『ある神話の背景』は昭和48年に文芸春秋から出版された後PHPで文庫本化されたが、いずれも絶版となり入手が難しくなっていたという。この5月WAC文庫から『沖縄戦・渡嘉敷島−集団自決の真実』という書名で復刻さ…

「中国の赤い星」の嘘               

エドガー・スノーの著書「中国の赤い星」の初版は1937年に刊行され、中国のみならず世界中に衝撃を与えたようだが、1952年には日本でも出版され、毛沢東指導の中国革命を賛美して伝えたこの著書は日本の知識人層に大きな影響を与えた。高校時代にこれを読ん…

3 山菜てんぷらの話

その一 妙見山の「蕗(ふき)のとう」 久しぶりの好天気に恵まれた四月二十七日の日曜日、日本三妙見の一つ但馬妙見(日光院)が麓にある但馬妙見山を、家内の運転で目指す事にする。宝塚ICから中国道を西に行き、福崎ICから播但連絡道を和田山まで北上、九号…

軽井沢からの万座往復                    

この5月の連休を中軽井沢鶴溜の小山荘で過ごしましたが、好天の一日は直線距離で33km北方の万座温泉まで家内の運転でドライブして来ました。朝8:40出発、浅間山の東側を一路北上して浅間高原を越え、バラギ高原の奥にある「パルコール嬬恋(スキー)リゾートホ…

「国益」を忘れた栗山論文の笑止  

元外務次官・駐米大使の栗山尚一氏が「外交フォーラム」2006年1・2月号に発表した「和解―日本外交の課題」について、産経新聞古森氏が「諸君」本年5月号で掲題のように批判している。8頁に及ぶ古森氏の文章を下記に要約する。これは私の考え方とほぼ一致する…

教科書書き換え問題と宮沢談話            

安倍官房長官が4月2日の民放TVで、対中外交に関連し、二十四年前の教科書検定問題に言及し、「検定によって華北への『侵略』が『進出』に書き換えられたと報道され、中韓両国から抗議を受けた。これについて日本は当時官房長官談話で事実上それを認め謝罪し…

笠置山(288m)山頂散策              

三月初めの日経新聞夕刊プレジャー欄に「笠置山トレッキング」と題する記事があり、「壮麗な磨崖仏、歴史刻む岩。低山ながら優れた風光」と紹介されているのを家内が切り抜いていたので、これを頼りに昨土曜日文字通り軽登山支度で出かけた。中国自動車道を…

我国のあるべき対中スタンス             

大阪倶楽部での先日の講演はハドソン研究所首席研究員の日高義樹氏による「中国問題」であったが、要は「米中対決が避けられなくなっているのに能天気な日本が危うい」という事だった。講演内容のみならず昨今のメディアの関連情報を参考に、まず米国の対中…

衛星打ち上げ用ロケット           

今年1月24日に陸域観測技術衛星「だいち(ALOS)・太陽同期軌道」がH-2Aロケット8号機で、そして2月18日には運輸多目的衛星新2号(MTSAT-2・静止軌道)が同9号機(写真上)で、共に種子島宇宙センターから、更に2月22日には赤外線天文衛星「あかり(ASTRO-F)・高度750kmの円…

高速増殖炉もんじゅの未来に栄光あれ         

先日のTV放映「今なぜ世界は原子力発電ラッシユなのか」(日高義樹ワシントンレポート)に依れば「米国は新しいエネルギー法案によって原発の建設を促進させる。世界の原発基数は現在440だが、50年後には1500になる」そうだし、昨年末大阪国際会議場で行われた…

2 肺のCT検査 

年に一回の住友病院健康管理センターでの人間ドックだが、○月○日、今回は家内も一緒の午前半日コース、いつもの手順で終了した。十日ほどして郵送されて来た人間ドック成績表を見ると、今回はいつもと違って呼吸器CTの欄に「右S3にスリガラス影を示す結…

1 熊野山中十津川村                      

「紀伊山地の霊場と参詣道」(熊野古道)が平成十六年七月世界遺産に登録された事もあって一度歩いてみなくてはと思っていたが、しばらく運動不足気味でもあったし思い立ったが吉日と、昨年四月急遽一泊二日で敢行する事になった。土曜日の朝六時に家内の運転…

世界は今原子力発電ラッシュ               

日高義樹ワシントン・リポート「今なぜ世界は原子力発電ラッシュなのか〜ボドマン米エネルギー庁長官」が今日16時からのTVで放映される事を新聞広告で知り、日頃の不勉強を挽回すべくメモを取りながら視聴した。長官の発言要旨はほぼ以下の通り。 (1)原油の…

2月7日は北方領土の日          

ある感慨をもって切り抜いてあった昨年2月7日の産経新聞には、『7日は(択捉島までを日本領土と確認し合った)日露通好条約の締結150年記念日である。また今年は(未画定だった樺太をロシア領とし千島列島は日本領とした)樺太・千島交換条約締結130年、日露戦争…