2011-01-01から1年間の記事一覧

北方四島返還―無策の10年を脱却出来るか 

今年6月から7月にかけて、筆者は東郷和彦元外務省欧亜局長の著書「北方領土交渉秘録」を参考に、短文「北方四島その1 、2、3」を書いた。その1では、1956年の日ソ共同宣言以降のねばり強い交渉経緯を経て、2001年にイルクーツクで森・プーチン会談が行われ、…

吉田茂の影の参謀・辰巳元中将

湯浅博著の新刊「吉田茂の軍事顧問・辰巳栄一」(産経新聞出版2011.7)の、私にとってのエッセンスを記す事にする。氏の略歴は「大正4年陸士卒業、同14年陸軍大学校卒業、昭和8年関東軍参謀、同11年英国大使館付武官、同17年東部軍参謀長、同20年第3師団長(南寧)、…

マスメディアの不当報道告発

H20年2月19日午前4時過ぎ、房総半島南方・三宅島北方の海域で自衛艦「あたご」と漁船「清徳丸」が衝突し、漁船は沈没、同船の乗組員(船主と長男)が死亡(5月20日認定)した事故に関し、翌年4月に横浜地方検察庁は、事故当時の当直責任者2名を横浜地方裁判所に…

軽い言葉の政策でなく人物を見よう

菅直人についての人物評価をまとめる。月刊「文藝春秋」(H22.10)の憂国対談で、ノンフィクション作家・保阪正康とジャーナリスト・徳岡孝夫とが、菅直人の人物評を以下のように行っている。 1. 腹の立つ事が三つある。(1)彼の視線というものは、ものを凝視し、きちっと直視…

ソ連の崩壊と日米同盟の勝利(古森2) 

古森義久の著書「アメリカはなぜ日本を助けるのか」の第9章の要旨で(古森1)に続いています。 1) ソ連の核ミサイルSS20 1980年代前半の核問題というのは、ソ連が1977年から西欧各国や日本を射程に収めて配備を始めた、凄い威力の戦域核ミサイルSS20の事であり、5年後…

憲法9条は対日不信の産物(古森1)

古森義久氏の体験的日米同盟考「アメリカはなぜ日本を助けるのか」が産経新聞出版からH23.6に刊行された。興味深い体験が語られているが、何件かを要約してみる。最初は憲法である。 1) 江藤淳氏の大胆な講演 1980年ワシントンでのある研究発表会で江藤淳氏…

競争嫌いの日本人

掲題は、大阪大学教授・大竹文雄氏の新著「競争と公平感」(中公新書2010) の第?章の表題だが、その言わんとする所は「我々は、市場競争のメリットを最大限生かし、デメリットを小さくするよう規制や再分配政策を考えるという、市場競争に対する共通の価値観…

北方四島返還―その3 [並行協議への再挑戦]

東郷氏の講演のあと著書「北方領土交渉秘録」を読み、引き続き氏の部下だった佐藤優氏のベストセラー「国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて」(刊行は新潮社2005.3、新潮文庫版は2007.11) を読んだ。各章は逮捕前夜・田中真紀子と鈴木宗男の闘い・作られ…

北方四島返還―その2 [日露交渉の壊滅と再興]

その1では、2001.3の森・プーチン会談で、「歯舞・色丹の引き渡し」と「国後・択捉の討議」の並行協議という日本側提案が、拒否されず辛うじて残ったと言ってよく、両国外務省はこの後者のテーマを今後どのようにさばくかにつき、それぞれシナリオを考える事…

北方四島返還―その1 [島が一番近づいた日]

三回のモスクワ大使館勤務、ソ連課長、条約局長、欧亜局長、を歴任し、北方領土返還交渉に深く関わった、現在京産大世界問題研究所長・東郷和彦氏の講演を聴いた(6月1日)後、2007年に刊行された氏の著書「北方領土交渉秘録」を読んだ。交渉の内幕を以下に要…

中学歴史公民教科書の採択―その2

その1で「偏向教科書駆逐」を言ったが、具体的な執筆例を今迄最も採択率の高かった「東京書籍」を例にとり、片や教科書改善の会の「育鵬社」と比較してみる。 (1) 神話・伝説の扱い: 学習指導要領には「神話・伝説などの学習を通じて当時の人々の信仰やもの…

中学歴史公民教科書の採択―その1

戦後一年半という早い時期に、GHQの強い指導で公布・施行された11条からなる旧教育基本法に代わって、「改正教育基本法(18条)」がH18年12月に公布されたが、これによって「真理と平和を希求する人間の育成」が「真理と正義を希求し、公共の精神を尊び、豊か…

「饗宴」後の中国はどこへ向かうのか

「日中をダメにした9人の政治家」という書名の石平氏の新刊があるが、書名と同じ第1章では、慎重さを欠いて台湾を見捨てた田中角栄・外交カードを中国に渡してしまった中曽根康弘・一方的謝罪で国益を毀損した宮沢喜一、小泉/安倍は逆に主導権を取り戻したが…

ほぼ当たっているメア氏発言

米国務省日本部長で元沖縄総領事のケビン・メア氏の「ごまかしとゆすりの名人」発言は、決して嘘を言ったわけでなく、実態はそれに近かったのだから言われても仕方がなかろう、と私は思う。一般庶民の多くはそうでないかも知れないから「沖縄人」でなく「沖…

日米同盟崩壊 

掲題は元アメリカ陸軍大尉の新刊著書の題名である。著者・飯柴氏は日本人であるが以下のように大変ユニークな経歴の持ち主だ。1973年東京生まれ、19歳で渡米、北ミシガン州立大学に入学し、士官候補生コースの訓練を終了。1999年永住権を得て米陸軍入隊。200…

米国は「日本の核武装」に異論なし 

掲題は月刊誌Voice 3月号掲載の、日高義樹論文の題目であり、以下はその要約である。 キッシンジャーは言う、「日本のような大国がなぜ核兵器を持たないのか。もっとも日本が核を持とうとすれば、世界中と難しい政治的やりとりが必要にはなろうが」。フェイ…

政治の迷走の責任は?

1. H22年1月の筆者のメモ 約100日の鳩山首相の言動を観察し、国際文化研究センターの猪木武徳所長が 『国民は ・明晰に説明出来る能力を持つリーダー、喫緊の課題を直視するリーダーを求めず ・「国民の為に……をさせて頂く」と言うなど、異様な低姿勢のリー…

日本に必要な核抑止力

小学館101新書「中国の核戦力に日本は屈服する」(伊藤貫著、2011) を読み終え、現代史復習の最終コーナーのテーマと思い、以下に要旨を記し、諸兄の関心を高めたい。著者は25年間ワシントン在住の国際政治・経済アナリストで、国際政治学で言うリアリスト派 …

三田の虚空蔵山

1月24日(月) 6時起床、今日は久しぶりの軽登山だが、いつもと異なり車でなく電車で、三回目の虚空蔵山を目指す。最近は朝晩の血圧測定を日課としているので、登山中もやってみようと血圧計を持って出かける事にした。朝食・着替え後の血圧測定では、最高/最…

週一観音山

我が家は阪急今津線「おばやし」駅から西の高台にある( )が、そこから西南西へ直線距離で約8km、六甲山東部前山の麓に「鷲林寺」( 標高330m)がある。空海が開創した真言宗の寺院で、本尊は「十一面観音」、盛時は76坊を有する大寺院であった。その裏山の山頂…