衛星打ち上げ用ロケット           

 今年1月24日に陸域観測技術衛星「だいち(ALOS)・太陽同期軌道」がH-2Aロケット8号機で、そして2月18日には運輸多目的衛星新2号(MTSAT-2・静止軌道)が同9号機(写真上)で、共に種子島宇宙センターから、更に2月22日には赤外線天文衛星「あかり(ASTRO-F)・高度750kmの円軌道」がM-5(ミューファイブ)ロケット8号機(写真下)で内之浦宇宙空間観測所から、いずれも成功裏に打ち上げられた。一ヶ月の間に3機の打ち上げが行われたのは我国では初めてであるが、H-2A 6号機(H15.11.23)の失敗の徹底的解明を経て、7、8、9号とH-2Aの成功は続いたし、M-5も4号の失敗はあったが、我国ロケットの確実性が上がって来ているのは大変喜ばしい事である。日本初の純国産ロケットH-2(宇宙開発事業団により1994〜1999迄8機?打ち上げ)で培われた技術をもとに多様な運輸需要に対応すべく開発されたのが実用衛星用H-2A(全長53m・コア直径4m・打上げ能力4トン・2段式液体酸素/水素ロケット)であり、打ち上げ費用も85億円と世界相場並みに下げる事が出来、2001の1号機から前述の9号迄実績を重ねて来た。H18年度は3回の打ち上げが予定されている。一方科学衛星・探査機用ロケットは1955のペンシルロケット水平発射に始まり、1960カッパによる高度190km到達・1970ラムダによる世界4番目我国初の人工衛星おおすみ」・1971ミューによる第1号科学衛星(太陽電波・宇宙線観測)「しんせい」と続き、以降ミューに統一されてX線天文衛星・ハレー彗星探査機・オーロラ観測機が打ち上げられた。最近では全て前述のM-5ロケット(全長30.7m・直径2.5m・打上げ能力1.8トン・固体燃料)であり、1997のM-5 1号機が電波衛星「はるか」を、3号機が火星探査機「のぞみ」(残念ながら火星周囲軌道に乗せる事に失敗し、人工惑星となってしまった)を、以下X線天文衛星・小惑星探査機「はやぶさ」(イトカワに到達後地球への帰還を実現すべく研究陣は奮闘中?)・赤外線天文衛星などを打ち上げて来た。「おおすみ」以来現在まで約30の科学衛星を打ち上げたようであるが、現時点での活動中は6衛星であり来年度に太陽観測衛星「SOLAR-B」が予定されている。2003年10月に宇宙開発事業団航空宇宙技術研究所・宇宙航空研究所が統合されて、4本部1グループの宇宙航空研究開発機構(JAXA:Japan Aerospace Exploration Agency)となったが、総力を結集し宇宙開発・宇宙研究で世界をリードしてもらいたい。この分野も原子力と同様に我国が取り組むべき格好のテーマの一つである。