奥美濃最高峰「能郷白山(のうごうはくさん)」    

 
 土日月の三連休ではあったが、生憎大型の台風14号が沖縄あたりから北上を始めていたので出掛けるのは無理かと諦めていたところ、足早になりかつ朝鮮半島に向かったので、土曜日の朝、奥美濃のホテル「うすずみ温泉四季彩館」に電話し、その晩の宿泊可を確認しステーションワゴンで出発した。大垣ICで名神を降りてから一時間半国道157を北上して目的地に着いたが、途中に地震断層観察館があったので見学に出掛けた。
明治24年10月28日朝のここ根尾谷を震央としたマグニチュード8程度の濃尾地震の断層であり、この根尾谷断層を真上から掘り下げ、黒々として垂直に断ち切られた基盤岩石の6mに及ぶくい違いの姿を目の前にする時、一瞬にしてこのような大変位を生じさせた自然の威力に圧倒される。当時の記録では「轟然一声百雷の頭上に墜落せしと思ふ間もなく劇烈な震動を起こし、瓦飛び屋倒れ、地裂け井涸れ、瞬時にして全世界を絶滅すべき勢を現せり。」とある。この大地震は濃尾活断層系の中、温見・根尾谷・梅原の三つの主要な活断層と名古屋北方まで延びる潜在断層が順次変位を起こした為だそうだが、我国内陸部に起こった地震として史上最大のものと言われている。ちなみにこの観察館は平成3年濃尾地震100周年記念事業の一つとして建設されたそうである。
 さて今回の主目的は奥美濃最高峰の登頂であり、翌朝はホテルを7時半に出発、根尾西谷川に沿うすれ違いもままならない国道157を一時間半行き、岐阜福井の県境の標高1000mの温見(ヌクミ)峠に到着した。ここが15年前に開かれた新しい登山道の入り口であり、既に数十台のマイカーが道路わきに駐車しており、バスを仕立ててやって来たグループも居るようだ。両足膝のサポーターを忘れずに準備万端整えて9時15分スタート、始めは林間のゆるやかな登りだがすぐに直登の急斜面になる。急ではあるがブナが多くなかなか気持ちのいい登りである。標高差100mぐらい毎に小休止し水分補給する。二時間程で「1492mピーク」に達して急登が終わり、あとは少し登っては水平に歩く道が続いて程なく一等三角点のある能郷白山頂上(1617m)に着く。12時05分。所要時間2時間50分はまずまず。ちょっと先に行くと白山権現の祠のあるピークがあり、北方を除いて展望が開けている。周囲は山々が或いは南北に、或いは東西に連なりながらひしめいているが、遠くを望むと東に御岳山が、そのやや南に恵那山が見え、真南の方向にあるのが伊吹山だ。 13時05分、下山開始。しばらくは問題ないが、急降下になってからは膝を痛めぬよう要注意、急がずに降りたが、何組かに追い越されたし家内にも随分遅れてしまった。 温見峠に戻って丁度15時、まだ数台の車が残っていて今回はラストではなかった。 白山神社のある根尾村能郷まで降りて来て振りかえると前山の向こうに今行って来た能郷白山が見え、よくもあんな遠いところまで行って来たものと我ながら感心。
  昨夜泊まった四季彩館に立ち寄って温泉入浴し、軽く食事をしてから帰りもまた家内の運転で帰阪。 帰宅は23時だった。