台北101觀景台                     

 3月の始めに三日程社用で、十年振りの台北におりましたが、「15年遅れで日本を追っている」と李登輝さんが陣頭に立って開発〃〃で慌しかったように思えた時と比べ、街中が大分落ち着いたかなと感じました。前回と同じく故宮博物院中正紀念堂・總統府・龍山寺を訪ねましたが、今回は初めて台北101觀景台見学を付け加えました。初めては当然でして、世界一のこのタワーは昨年12月に竣工、グランドオープンが3月1日だったからです。このタワーの正式名称は「台北国際金融センタービル」、施主は「台北金融大楼(株)」、コンサル「ターナー社(米国)」、構造設計「エバー・グリーン社」です。建物の概要は、地上101階・地下5階、高さ508m、床総面積約41万m2、構造鋼総重量9.4万t、コンクリート量約24万m3、となっていますが、380本のパイルが地下80mに打たれ更に30m程岩盤に打ち込まれていると案内書に記載されています。
日本の超高層ビル(一般に高さ100m以上を言う)について調べてみますと、1968年竣工の霞ヶ関ビル(156m)が最初で、現在では165m以上が57棟となっているようでして、2003年末時点での日本最高は1993年に竣工した横浜ランドマークタワー(70階建・296m)です。世界一高いビルの移り変わりは、竣工1930年のクライスラービル(NY 319m)から、1931年のエンパイアステートビル(NY 381m)、1974年のワールドトレードセンター(NY 417m)、1974年のシアーズタワー(シカゴ 442m)、1997年のペトロナスツインタワー(クアラルンプール 452m)そして台北ビルとなります。予定を入れますと、2007年の上海世界金融センターが467m以上で、世界二位に踊り出る事から、世界のベスト3はすべてアジアにある超高層ビルとなります。こうなるといかにも米国の凋落が目立つわけですが、NYのWTC跡地に2009年竣工予定で建設中のFreedom Towerは、高さが514mの設計になっていて、竣工時には再び首位を奪回するようです。ところが、ドバイに超高層ビル建設の計画があって、高さがなんと560mとも700mとも言われているそうで、急がないと米国の瞬時の首位奪回も無理かと囁かれているようです。
さて、現時点で世界一の台北101ビルですが、メインコントラクターが熊谷組・サブコンが新日鉄である事を付け加えておかねばなりますまい。更に世界最高速とギネス社に認定されたエレベーターですが、メーカーは東芝であってかご室内部の気圧を調整する「気圧制御システム」を始め、かごに取り付けられたセンサーからの振動情報をもとに逆方向に錘を動かして、かごの水平方向振動を打ち消す「アクティブ制振装置」などを装備し、すべてではないが、分速1,010m(時速60.6km)を実現しているそうです。ハードの物作りに強い日本の面目躍如であり、今年10月に開業予定の我が国技術に基づく新幹線共々大変心強い限りです。冒頭言いましたように、是非記念にと展望台に向かったのですが、実は、長蛇の行列の為断念せざるを得なかったのは返す返すも残念でした。
しかし、胡錦涛の焦りに比べ、陳水扁政権下の台湾国!民の自信が実感出来た今回の台湾行きは、それを補って余りある有意義な出張でした。