日本近現代史を読み直そう             

  [市販本]新しい歴史教科書が昨年6月に出版された時早速購入して通読してみましたが、豊富に絵図・写真が挿入されていて興味深かったのと幕末以降の「近代日本の建設」・「世界大戦の時代と日本」の2章で丁度半分の分量を割いているのは歴史教科書として大変望ましいしいとの印象を持った記憶があります。今の青少年には明治維新以降の日本史をしっかり勉強させるべし、と日頃から思っているものですから、いい教科書が出来たなと思う一方、これが殆ど採用されなかった事については、日本の教育界がすさまじく偏向史観に毒されているのだなとあらためて認識させられました。
  この8月に岡崎久彦著「吉田茂とその時代」が刊行され、「陸奥宗光-----」「小村寿太郎-----」「幣原喜重郎-----」「重光・東郷-----」と併せて五巻本が完成しました。岡崎氏は「歴史がその時代の人々の努力の集積であるならば、その時代の人物を、現代の尺度でなく、その人が生きていた時代の尺度に合わせて見つめ、その努力の軌跡を追うことによって歴史の真実に迫る」という正攻法で明治維新以降の日本歴史を公正に客観的にまとめてます。そしてこれを要約して産経新聞に連載したものがこの9月に「百年の遺産---日本近代外交史73話」として発刊されました。歴史書に結論はありませんが、若い世代に贈る岡崎氏のメッセージは「憲法9条」と「東京裁判」に関してです。前者については、「これに反対すれば、追放される可能性に脅えて、国会議員は黙々として賛成し、厳しい言論統制の下で、それが日本側の意思であると、国民に教え込んだだけです。憲法は押し付けかもしれないが、内容は国民が歓迎したなどという占領中の宣伝が作った神話とは、ほど遠い実態でした。」と述べ、「東京裁判」については、「戦勝国だけの裁判官が占領軍の絶対権力を背景に敗戦国の歴史と伝統を凌辱した、一方的、杜撰極まる裁判だった。」と言ってます。
  東京裁判については私も知識不足なので、少々勉強してみました。一冊は「パール判事の日本無罪論」(田中正明著---小学館文庫)でこれは1963年の刊行を昨年文庫化したもの。もう一つは「図説 東京裁判」(太平洋戦争研究会編、平塚柾緒著)で今年7月に河出書房新社から刊行されてます。一方極最近靖国神社に行って来ました。この7月に遊就館が新装されていてじっくり見学すると数時間かかりますが、幕末・戊辰戦争西南戦争日清戦争日露戦争第一次世界大戦・済南事変・満州事変・支那事変・大東亜戦争などの戦役に関する遺品・記念品などが陳列され、ゼロ戦も展示されてます。
  岡崎氏の言われる如く、現代の尺度でなく、その時代の尺度でまずしっかりと歴史の真実を把握するというのが大切と私も思います。若い人のみならず全国民的にそういう視点で日本の近現代史を読み直す運動が広く起こるといいなと思います。憲法9条と言い、靖国と言い、偏向史観に犯されている人たちには一日も早く戦争の後遺症から脱却してもらわねばなりません。若い人たちには特に幕末維新以降の国づくりに奔走した俊才たちを思い、あらためて輝かしい国づくりに邁進してもらいたいものである。