ヒカゲツツジの向山連山(丹波・多紀アルプス西端)         

「中高年向きの山100コース」とか「山あるき100選」「関西百名山」などなどガイドブックはこの頃数え切れない程書店に並んでいるが、今日(4月10日)はそのどれにも載っていなくて、大阪駅前の山の店「石井スポーツ(株)」のチラシにあった「向山連山」を目指す事にした。場所は関西では有名なサイプレス・ゴルフクラブに近い所なので、舞鶴若狭自動車道の春日ICで高速道を降りる。宝塚からJRの福知山線で行けば一時間十二分で着く石生(イソウ)駅が目的地である。ここから高谷川に沿って山地に向かうと「水分れ公園」(ミワカレ)があり、そこが登山口だ。近くに「いそべ神社」があり隣が氷上町立・水分れ資料館で、入口に中央分水界展望「向山連山登山道」なる地図が置いてあり、一枚もらって行く。これによると、登山口が標高120mであり、一気に急登してまず珪石山(557m)、そこからほぼ水平に尾根道を行き、五ノ山(591m)・向山(569m)・四ノ山・三ノ山・二ノ山と連山を登り降りしながらの、約8km五時間の健脚コースとある。この連山登山道の春の特徴は、黄色い花の「ヒカゲツツジ」だ。五ノ山から四ノ山までの尾根筋ではこのつつじに頻繁にお目にかかった(写真参照)。二ノ山から下りて来るとおじさんに「つつじはもう咲いてましたかな」と声を掛けられたが、地元でも気になる事なのだろう。
 この地域の「水分れ」とは中央分水界の事であり、しかも日本一低地と言う事で知られているそうな。資料によると、瀬戸内海に注ぐ加古川の上流がこの近くを通っていて、前述の高谷川は加古川の一支流である。一方若狭湾に注ぐ由良川を上るといくつかの支流を経て最後はこの近くの黒井川となる。高谷川と黒井川は1000mの距離であり、その間を陸送しさえすれば、瀬戸内海と日本海を結ぶ物資の輸送ルートになるわけで、氷上回廊と称される歴史的ルー
トだったと言う。そんなわけで、資料館には米俵を積み船頭二人乗った原寸模型の高瀬舟(川舟の一種、喫水が浅く船底の広い箱型の物資運搬船)が展示されていた。ガイドブックにない「向山連山」だが、中央分水界とヒカゲツツジで十分案内書に掲載される価値がある。