樽前山外輪からの溶岩ドーム                


8月20日(金)の札幌での会議の翌日、台風が過ぎて好天が見込まれたので、何の準備も無かったが樽前山に行って見る事にした。札幌駅前9:55発の路線バスで約50kmの支笏湖へ。「支笏湖温泉」(標高250m)に11:20着。直ぐそばの「ちとせ交通(株) 支笏営業所」に行ってみると、丁度お客を降ろしているタクシーがあり、「樽前山七合目ヒュッテ」迄行きたい、登山案内書によると20分3000円とあるが.......などと話をしながら乗り込む。帰りも問題なので、15:00に迎えに来れるか?を問うと、千歳空港の担当なので自分は来れないが、支笏湖担当に連絡しておくので心配なく、という事になった。途中で道をちょっと間違えたこともあってか、3000円を過ぎたころ「この辺でメーター止めておきます」と言う。なかなか律儀な運転手だ。
12:00に目的地(50台程度の駐車場)に到着。登山口(標高665m)を12:10スタート。登山靴でなく通勤靴なのだが道はよく整備されており、登山口での気温も18℃と爽やか、森林の中の小道なので大汗をかかない程度に登る。やがて30分程で森林限界を過ぎると視界が一度に開け、南前方に太平洋が、振り返ると最大深度363mの支笏湖の紺碧の湖面が見える。東南東に苫小牧市街が、東北東には千歳市街が、広々とそして青々とした森林の先に望まれる。親子づれ・家族づれの下山者と何度もすれ違いながら、13:20に「火口原分岐」(標高960m)に到着。目の前に1909(明治42)年の爆発に伴って誕生した直径450m、高さ130mの巨大な溶岩ドームが現れた。北に東山(1023m)が、西南西に西山(995m)がそれぞれ外輪山を形成しているが、ドーム一角から多量の白煙が立ち上がっていて、内側への立ち入りは禁止されている。
 樽前山の外輪は直径1.2km程度だが、4万年前に激しい火山活動が続き、莫大なマグマが噴出した後の陥没で直径約12kmのカルデラ(火山性凹地)が出来、これに水が溜まって支笏湖が出来たと言われる。その後カルデラの中心部を通る北西方向の弱線に沿って、風不死岳(フップシ)・恵庭岳・樽前山が生じたと言われている。
 見晴らしはいいのだが何せ強風であり、13:35に下山開始。歩幅を狭くしてとぼとぼと下り14:20に七合目に帰還。15:00の約束だが、一本道でもあり途中で会う筈だから、林道を歩く。後ろから来た車が停まって「どこまで行きます? 乗りませんか」と声を掛けて下さる人がいる。わけを言って遠慮すると「さっき水を探していたようだから、」と言ってポカリを下さる。朝食以来水を飲んでいないので、これは有り難く頂戴した。しばらくして「ちとせ交通」の小型車が上がって来た。道の真中で両手を上げてストッフ゜。支笏湖営業所にあるただ一台のタクシーだそうな。大抵は予約で一杯だそうだが、同僚が「約束してあるので何とかしてでも行ってくれ」と言うので来た、との事。3000円の運転手と言い、ポカリのおじさんと言い、北海道には何と親切な人が多い事かと感心。湖畔の食堂で遅い昼食(ヒメマスの刺身定食)をとってから路線バスで空港へ。