大雪山を歩く(その3 旭岳登頂)            

 9月20日(月)、オープンと同時にバイキング朝食をとり、昨日頼んでおいた昼食用弁当を受け取って、すぐ近くのロープウェイ駅(標高1100m)に急ぐ。このロープウェイは1968年の営業開始なのだが、1998年から2年がかりで大改装されて100人乗りのゴンドラとなり、標高1600mの姿見駅迄約10分だ。快晴とは言えないが薄い雲は高くまずまずの天候であり、既にそこは森林限界を越えているので、眼前は広く開け荒々しい大爆裂火口(地獄谷)の上に旭岳の頂上が間近に見える。改めて靴の紐を締め直し7:55出発。ガラガラの噴出物の砂礫山道だが、何本も勢いよく立ち上がる白い噴煙を左手の地獄谷に見ながら殆ど直登。しばらくすると右手にトムラウシ山が、次いでそのまた右手遠方に雄大な十勝連峰が展望出来る。小さな噴煙がたなびいているところの尖がった山が十勝岳だ。子供連れや女性グループも多いが、陽射しは無く気温も低いので汗をかかないためか、今回は余り追い越される事が少ないのだが、しかし家内はいつも前方で、こちらは黙々と一歩一歩進む。8:52に1930mの7合目、9:25に2060mの8合目に来ると更に展望良し。2190mの9合目には9:55に到達したが、この頃になると地獄谷から吹き上げてくる強風による冷え込みが厳しい。急いで防寒ズボンを重ねてはく人も居て、こうなって来ると気楽
な山登りとはいかなくなる。こちらもさすがに速度が落ちたが最後の急登で10:20頂上に立てた。登りは十勝連峰方面だけだつたが、今や視界は全方位で、一昨年登った北鎮岳やその後方の黒岳もはっきりと望める。「大雪山に登って山岳の大きさを知れ」と大正の文人大町桂月は言ったそうだが、同感だ。頂上は丸く広く沢山のグループが思い思いに山の雄大さを感じているようだったが、余りの冷え込みにこちらは30分程で早々に下山する事にした。いつもの事だが膝を痛めないよう注意が必要で、滑り易い火山礫でもあり、小股で足元を確認しながら降りる。ゴンドラ駅に13:00帰着。実質歩行時間は4時間強であり、これは登山案内書の標準時間とほぼ同じで今回は大変順調であった。家内は30分前に下山完了しており、殆ど単独行動していた娘は90分も前に帰着していて、ゴンドラ姿見駅のレストランで待ちくたびれたと。なかなかやるものだ。
 それにしても雄大大雪山系だ。大雪山と言っても一つの山の名ではなく、北海道の中央部に起伏する大雪山国立公園の中にある山々の総称なのだが、公園の中には2000mを超える山々が30座以上も含まれていて、公園総面積は神奈川県とほぼ同面積だそうだ。山域的には北大雪・表大雪・東大雪・十勝連峰の4つに分
けられるが、「表」「十勝」は一昨日黒岳7合目で見かけたあの青年の黒岳〜十勝の縦走路であり、「北」は石狩川(層雲峡)の北側1800m程度の連山、「東」は石狩岳(1967m)から南へ延びるニペソツ山・ウペペサンケ山などの連山だ。毎日が日曜日になったらしばらく移住して、四季それぞれの大雪を歩きたいものだ。