大雪山を歩く(その4 十勝岳と後藤美術館)      

今日9月21日は最終日である。旭岳ロープウェイ駅のすぐそばの、本格派山岳リゾートといううたい文句の、温泉の水量豊富なホテルという事なので、今朝はゆっくりと朝風呂に漬かって、8:00に出発。十勝岳の近くに行き、そのあと後藤美術館を訪ねて千歳空港に帰るスケジュールである。まず標高1100mのホテルから400mの美瑛町迄一気に下って、改めて今度は白金温泉に向かって美瑛川を上る。殆ど一直線の道路で十勝岳がいつも真正面にあり、左へ美瑛岳・美瑛冨士が並んでいるが、ずっと左の遥か遠くに旭岳も見える。白金温泉から更に上って望岳台迄来ると、白煙を上げる十勝岳(2077m)が見上げるようだ。コニーデ式の活火山との事だが、1926年から2年続いた噴火では中央火口丘が崩壊して岩雪崩と泥流となり、144人の犠牲者が出る大惨事になったそうだ。1962年には大爆発があり噴煙は12,000mの成層圏迄吹き上げ、1988年から翌年迄、火砕流と共に直径20mの火山弾を放出したという。現在も火口からは激しい噴煙が上がっていて、生きた火山である事が実感出来るという。何時の日か登って見なくてはなるまい。望岳台から南へ林道を行くと十勝岳中腹(1280m)にある十勝岳温泉に来る。湯元凌雲閣からは、十勝岳は隠れてしまうのだが、隣の上ホロカメットク山の荒々しい岩肌が見える。この山に向かって登り富良野岳に下りてくるのも、火山の景観と花の稜線を楽しむ好コースだそうだ。
以上で大雪の山々訪問は打ち切りにして、最後はJR上富良野駅の近くの「後藤純男美術館」を訪ねる。1930年生まれで現在日本美術院の中心的画家として活躍中。画集の中の一節に「十勝岳の見える富良野にアトリエがあります。一日中、一年中見ていても、十勝岳の姿は一日として同じという事はありません。雲がかかり、朝日が逆光になって輝く時があるかと思うと、また雪が降って、昨日見えた細かいひだが見えなくなったりと、夕方日が沈む迄どのくらい変わるか分からない程です。自然はいつ見ても変化に富み、見れば見る程新たな発見があります。」とある。1997年に美術館をアトリエの隣に開設。今回で二度目の入館だが、大和の寺・中国の風景などの、大形であってしかも繊細な絵画に圧倒されるが、添付の写真は2002年作の「十勝岳連峰(部分)」の絵葉書をスキャナーで取り込んだものである。ここを最後に空港に向かうのだが、三泊四日の大雪山紅葉めぐりの締めくくりとして大変相応しい美術館であった。