頑張れ、小惑星探査機「はやぶさ」         

 小惑星イトカワへのタッチダウン(着陸・試料採取)はどうやら不成功に終わったようだが、25日以降再チャレンジとの事であり、JAXA宇宙科学研究本部・「はやぶさ」チームの活躍に声援を送っている。重量510kg・サイズ1.0m×1.6m×2.0mの探査機「はやぶさ」はM-Vロケットによって2003.5.9に打ち上げられ、地球より一回り大きな軌道を公転している大きさ500m程度のイトカワに到着したのが2年4ヶ月後の今年9月、11月1日に鮮明なイトカワの画像が公開された。以降約一ヶ月ターゲットマーカと小型探査ロボット「ミネルバ」の投下と共に、探査機の降下・着陸および地表面の試料採取を2回試み、12月上旬にはイトカワを離脱し、再度イオンエンジンを運転して帰路につき、採取したサンプルを地球に届ける為の、最先端技術で製作された回収カプセルは、惑星間軌道から秒速12kmを超える速度で直接地球大気圏に再突入して2007.6.に帰還する、と言うのが今後の予定である。
 ところでイトカワは現在地球からは一番遠い所(約3億km)にいて、電波の往復は30分以上かかる。遠方にある正確な形さえ分からない小惑星に接近する為にこの探査機は高い自律機能を持ち、カメラの撮像やレーザー高度計により距離や形をとらえ、探査機自身がその場でどういう行動をとるべきか考えて実行するそうだ。11月4日に第一回リハーサルとしてイトカワへの降下が行われたが、ある異常が検知された為中止となり、一旦9.6kmの高高度へ上昇した。9日航法誘導機能の確認を目的とした降下試験を行いイトカワに70m迄接近した。12日再リハーサル降下試験で約55m迄接近し、近距離レーザー高度計の機能確認に成功、探査ロボット「ミネルバ」の分離も確認され探査機との通信も継続して行われた。19日21時、約1kmの高度から行動を開始した「はやぶさ」は順調に降下し、20日午前4時30分高度450mに到達、以降秒速を10cmに上げてイトカワに接近開始、5時46分高度54m、140秒後に高度40mに達し、ここで秒速4cmに減速、フリーになっていたターゲットマーカーがイトカワ表面に自由落下して行った。5時47分高度35m。 5時55分高度17mに達したところ迄は確認出来たようだが、それ以降は現段階では明確ではないようだ。計画では、着陸信号を受け取ったら直径10mm重さ5gの弾丸を発射し、舞い上がるダストと岩石片をカプセルに受けつつ、1秒後には上昇に移るようプログラムされているそうだが、実際は、上昇する筈の時刻になってもドップラーデータが「上昇」を示さなかったのだという。何が起きているか分からないまま不気味な30分が経過し、いろいろな状況を勘案すると、「はやぶさ」は地表から10m位の高度を漂い続けているように見えたという。そこで、100℃を超す温度であぶられ続けるのを避ける為、強制的にガスジェットを噴かして上昇させるべく地上から指令を発したそうだ。その後通信が回復して分かった事は、「はやぶさ」はイトカワから数十kmの位置迄遠ざかっているそうだ。今のところ着陸したのかどうかは意見が分かれているそうだが、いずれテレメータデータで判明するだろうとの事である。
 写真はイトカワだが中央やや右上に「はやぶさ」の影が写っている。世界が注目するこのプロジェクトをメディアがもっと取り上げ、国全体でその成功を祈りたいものだ。