九州国立博物館             

週末の長崎出張を利用して、10月16日(日)にオープンした九州国立博物館を訪ねた。H6年から文化庁内で検討が始まり、11年に基本計画が策定され、160m×80mの長方形で蒲鉾型の、サッカー場が一面すっぽり入る程の広さの建物が16年に竣工したとある。東京・京都・奈良に次ぐ4番目の国立博物館であると同時に「日本文化の形成をアジア史的観点から捉える」と言う九州に相応しいコンセプトを持つとの事だ。西鉄大宰府駅を降り大宰府天満宮参道を歩きアクセストンネルを経て駅から徒歩10分である。1Fはエントランスホール、2Fは収蔵庫。4Fが「文化交流展示室」と名付けられている4000?のメインギャラリーで、3Fは国内・国外の選りすぐりの作品を集めた展覧会を開催する特別展示室だ。メインギャラリーは、1旧石器・縄文時代縄文人、海へ」、2弥生・古墳時代「稲づくりから国づくり」、3古代「遣唐使の時代」、4中世「アジアの海は日々これ交易」、5近世「丸くなった地球、近づく西洋」と区分されており、例えば1では国宝「火焔土器」が、2では同じく国宝「宮地嶽古墳出土馬具類等出土品」や「好太王碑文拓本」が、3では日本最古の「梵鐘」が、4では「蒙古襲来絵詞」が、そして 5では洛中洛外図屏風(下図)が展示されている。展示品数は合計100件に近く、本来なら2時間以上かけてじっくり見たいところだが、何しろ入館までに一時間も並んだような混雑だったので今回は概略鑑賞で次に移る事とした。開館記念特別展は種々の所蔵者から借用した全部で126点の展示品による「美の国日本」で二部構成になっている。一つはアジアの国々の仲間入りを果たした時期、西暦57年に倭の奴国が後漢朝貢して金印を授けられた事に始まって初めて国というものを築き上げた奈良時代に至る迄の時期であり、第一部表題は「アジア古代王朝の精華」である。「漢委奴国王」金印(右図)は一辺2.35cmの小さな印章で、今特別展のシンボルだが、所蔵者である福岡市博物館の英断によって出品されたと言う。もう一つはアジアの一員から世界の仲間入りをする時期で、16世紀中頃のポルトガル人の来航によって初めて西洋文化を体験した事に始まる。その第二部は「大航海時代の日本」であり、内訳は風俗画と蒔絵・芸能と遊芸・武士の装い・信仰の世界・肖像となっている。出品目録を見ると、正倉院・韓国慶州博物館・奈良文化財研究所などなどから借り集めたものなのだが、中々充実した展示だった。外に出ると、入館時と同じ程度の長蛇の行列であった。次のチャンスには道真公の天満宮と併せてゆっくりした計画で来たいものだ。文化大国日本の為にはもっともっと予算を付けていい。それは後世への資産継承だ。