大峰山脈・釈迦ヶ岳           

 好天が見込めそうなのと、年内にもう一山との思いもあって、前夜弁当など急遽支度をして早朝4:00いつものように家内の運転で出発、奈良県十津川村釈迦ヶ岳を目指す。吹田IC・近畿道・美原IC・南阪奈道から一般道に出て五条市まで来てもまだ真っ暗。そこから168号を南下、西吉野村・大塔村を経て十津川沿いに十津川村に入る頃夜が白々と明けてくる。しばらく行って支流の旭川沿いを東行し、奥吉野発電所を過ぎて目指す「不動小屋登山口(標高1150m)」に7:00到着、丁度3時間。一台の車も無く今日は一番乗りだ。腹ごしらえなどの後、7:35に行動開始し、地図にあるような標高差約300mのつづら折りを一時間で一挙に急登して尾根道に出る。そこからはトウヒ・シラビソ・ブナなど樹林のササ道を、緩やかなアップダウンを何回か繰り返して進み、最後の150mの急登で11:00前に1800mの山頂に立った。北の吉野山から南の熊野本宮大社間の大峰山脈(大天井ヶ岳・山上ヶ岳・弥山・八経ヶ岳・仏生ヶ岳・釈迦ヶ岳・涅槃岳・地蔵岳・玉置山・五大尊岳)を踏破する修行を「奥駈(オクガケ)」と言い、約150km、現在のモデルプランは所要7日だそうだ。中でもこの釈迦ヶ岳登頂は難行だそうだが、東西から林道が奥へ入るようになって、車で近づけるようになったのは比較的最近の事のようだ。途中眺めた山頂はすっきりした錘形の秀麗な山容で、実際に立ってみると展望秀逸、360度でそれぞれ遠方まで山又山の重なりだ。等身大の釈迦如来ブロンズ像にもたまげた。何組もの登山者が次々と上がって来て狭い山頂は満員になりかけたが、小一時間の休憩後もと来た道を下山、14:15登山口に無事帰還した。
 先述した発電所についてのコメント。我々が上がって来た旭川のまた支流の瀬戸谷川をロックフィル式で堰き止めた瀬戸ダム(満水位標高960m)を上部ダムとし、旭川をドーム型アーチ式で堰き止めて旭ダム(同じく430m)とした高低差530mの揚水発電所である。6台の立軸フランシスポンプ水車にそれぞれ20万kwの発電機が直結して
いて合計120万kwの地下発電所となっているのだが、そこがどこなのか全く分からない。大工事だったのだろうが、竣工は昭和55年であり、25年経って元の森林に戻っているのだと推測する。関西電力の総電力は現在約3000万kwだからこの奥吉野発電所はその4%を担っている。(もちろん発電量としては2%かも) 旭川上流の開発が進んだ為なのだが、大雨の際にダム上流からの濁水がダム湖流入する不都合を解消すべく、バイパスのトンネル水路を平成10年に完成させたそうだ。これは翌年度の土木学会技術賞を受賞したとパンフレットにある。我が国の美しい自然と高い技術力に触れる事が出来、有意義な一日だった。