幼稚な朝日新聞社説             

今年2月18日の朝日新聞朝刊社説は、失われた世代に支援を、を見出しとする『格差是正』論であったが、大新聞の社説とはとても思えない幼稚な作文だった。敢えて全文を転記し皆さんの点検をお願いする。納得の上で一日も早く朝日から脱却されん事をお勧めしたい。
(a)民主党が「格差是正国会」として攻勢をかければ、政府・与党も底上げ戦略で切り返す論戦は活発だが、問題とする格差にしても、その是正策にしても一向にかみ合っていない。(b)格差そのものは、どの時代にもある。努力を怠った結果であるなら、自己責任を問われても仕方がない。その上で生活保護など最後の安全網を整えるのが政府の仕事となる。(c)では、政治が最優先で取り組むべき格差問題は何か。正社員と非正規の働き手との間に横たわる賃金や契約期間など処遇での差別こそが焦点だ。(d)正社員なら若い時期から会社の負担で能力を高められる。得意技や専門知識が身につけば、転職しての再チャレンジも難しくない。一方の非正規雇用は最初から不利な立場に置かれる。(e)私たちの社会には、こうしたハンディーを理不尽な形で負わされた仲間がいる。就職氷河期といわれた90年代に就職活動をした25歳から35歳ぐらいの層だ。「ロストジェネレーション(失われた世代)」ともいわれる。(f)バブル崩壊による不況のなか、企業はリストラを急いだ。過剰な設備や借り入れだけでなく、社員の採用も削り込んだ。本来なら若手社員に任す仕事を派遣や業務請負などが埋めた。(g)身軽になり、競争力を取り戻した企業は、いま高収益を享受している。だが、就職にあぶれた人々は取り残された。(h)経済開発協力機構(OECD)の対日審査報告書は「格差拡大の主な要因は労働市場における二極化の拡大にある」とし、その固定化に強い懸念を表明した。(i)問題は本人だけにとどまらない。消費の落ち込みや、社会保障の担い手の不足、中堅や熟練労働者の減少など、社会に様々なひずみを生む。(j)神戸の大手アパレル、ワールドはパート約6千人のうち5千人ほどを正社員に登用した。年22億円のコスト増だが、「一生の仕事として取り組む人材を確保する」という将来をにらんだ戦略だ。(k)こうした企業を増やし、低賃金の非正規雇用にあぐらをかく経営者に転換を迫ることで、失われた世代を支える仕組みを社会全体で考えたい。(l)自民党中川秀直幹事長は「法人税減税のメリットを非正規の賃金アップに使えないか」といっている。税以外にも工夫の余地はあるだろう。(m)すでにある障害者の雇用支援制度のような仕組みは参考にならないか。非正規雇用の比率が高い企業には納付金を課し、これを財源に正規雇用に積極的な企業を支援したり、能力開発の費用に充てたりするのはどうだろう。(n)業種などによって事情が違うから、緻密な設計が大切だ。対象となる年齢層を絞り、既得権にしないよう実施期間を限るといった歯止めも必要だろう。(o)ただ、若い世代の1年は、将来の何年にも相当することを忘れてはならない。効果のある支援策づくりを急ぎたい。
要約すれば、『政府が取り組むべき最大の格差問題は、就職氷河期に卒業したロストジェネレーションの正規・非正規雇用の間にある差別であり、法人税減税分で非正規雇用の賃金を上げるか、非正規雇用の多い企業に納付金を課し、逆の企業に恩典を与える、などの支援策を急いで作れ。』という事になる。中学生でも考えそうなありふれた思いつきではなかろうか。とても朝日新聞論説委員が知恵を絞った案とは思えない。この程度の短文なら、起承転結を明確にして書くべきだろうが、15回も改行し、だらだらと続けていく悪文であり、文章のプロとはとても思えない。同様な感想を持つ事が今までも多く、どうなっているのかと思っていたら、同じく慨嘆している人が居た。元中央公論編集長の粕谷一希氏であり、ある講演会の中で「発行部数は読売1000万部、朝日800万部という事になっているが、現実は既に2割減となっており、内容もお粗末、クオリティーペーパーとはとても言えない。昔は立派な人材が新聞社や出版社にかなり居たのに。こんな調子では読者から見放され、いずれ衰退するだろう、10年はもたない。」と断言していた。今でも日曜日には朝日新聞を買いに行き、産経新聞と読み比べているが、大学生と高校生の差ぐらいある。長年の惰性で朝日を取られている方々には一日も早い鞍替えをお勧めしたい。