丹波焼鑑賞付・温泉付軽登山             

虚空蔵山という名の山は各地にありそうだが、丹波のそれは福知山線藍本駅から西に1kmにある、舞鶴若狭自動車道藍本トンネルの西500mにある虚空蔵山(596m)だ。平成6年4月に初めて行った事があるので今回は2回目。低山だが展望がよく個性的な丹波の名山と言われている。この山の西側に丹波伝統工芸公園(篠山市今田町上立杭)があるので、そこに車をおいて、整備された「陶の郷」自然歩道を登る。午前9時スタート。標高差400m弱であり直登なので1時間半程で山頂へ到達。地図で見比べながら、北の白髪岳や松尾山、東の弥十郎ガ岳が望める。西は四斗谷に沿った立杭の集落が真下に見下ろされ、どこの山に登っても日本は山また山、谷また谷だなと思う。山頂直前の展望のよい丹波岩の所で昼食。今回はいくつか予定があるので、一休みの後もと来た道を下山したのだが、易しすぎる低山のせいか、今日は登りも降りも誰にも会わなかった。
スタート地点の伝統工芸公園には、伝統産業会館・陶芸教室・伝習会館・窯元即売場などがあり、資料保存室を覗いてみると、丹波焼の作品が平安末期・鎌倉初期・桃山期・江戸初期・中期・末期と区分されて並んでいる。当初は壷・甕・すり鉢などが主製品だったが、江戸時代に入り茶入れ・水指・茶碗など茶器類に多くの名器が生まれたという。写真は江戸初期の山椒壷(丹波の名産だった山椒を入れる)で、赤土部釉薬の登り窯製品である。800年以上にわたり受け継がれて来た丹波焼は、瀬戸・常滑信楽備前・越前と共に日本六古窯に数えられており、現在はここ丹波立杭地域が中心になっていて、四斗谷川西の斜面に今でも60窯近い窯元がある。陶土として伝統的に使用される原土は山土と田土だそうだが、山土は三田市四ッ辻の土取場から採取され、田土は篠山市丹南地区のものが使用され、組合経営の坏土工場で精製されているという。即売所には各窯元が極々小さな店、というより棚を出し、それぞれ自慢の商品を展示している。
近くに「今田薬師温泉・ぬくもりの郷」があるので、丹波焼鑑賞はそこそこに切り上げ、そちらに移り、汗を流して帰る事にする。平成11年に出湯したそうで、地下1300mから湧き出る湯量は毎分615リットルあり、循環させない源泉掛け流しの大露天風呂だ。風呂上りの休憩場から食堂、更に宴会場もあって、かなり繁盛している。土産物店・野菜即売店も並び、大駐車場もほぼ一杯だった。軽登山、丹波焼鑑賞、温泉と一巡りの休日であった。