諭鶴羽山(淡路島の一日:その1)

軽登山の実績もだいぶ出来たが、淡路島は一つも無かったと気が付き、たまたま今、日本三大群生地の水仙郷の時期でもあり、先ずは淡路島最高峰・諭鶴羽山(ユズルハ608m)を目指す事になった。朝7時出発、中国自動車道・神戸JCTから山陽自動車道に入り、更に三木JCTから分岐して南に向かい、神戸淡路鳴門自動車道に入る。鳴門の前で高速道路を降り一般道で淡路南端に出、黒岩に着く。山側に少し入った路上に駐車する。そこは諭鶴羽古道(表参道)登山口である。この古道は古く平安の頃より修験者達の修行の道として、又地域の人々にとっては生活の道であった。登り始めは左右にミカン畑が続き、実はなっているものの、よく見ると放置されているようで、過去数年人が入った形跡がない。これも地方崩壊の一つかと胸が痛む思いだ。その辺を過ぎると昼なお暗い照葉樹の急坂となり、ジグザグ道を進む。参道には一町(109m)おきに町石地蔵(丁目仏)があり、時折隣に座らせてもらって写真を撮る(写真下右)。登る一方の2kmを標準タイムの一時間半で諭鶴羽神社に到着。国生み神話で知られたイザナミノミコトをお祀りしているようだが、ともあれその創建は遠い昔で、修験道が盛んになるにつれ、この山も神仏習合体として大いに繁盛、山上一帯に28宇の大伽藍があったそうだ。江戸期の「淡路国名所図会」には『南灘の海辺に聳えたる高嶺にして、東は紀の路の海山より、南は渺々たる滄海(ウナバラ)、沼島(ヌシマ)の漁村は眼前にあり。西には阿波の岬、鳴門の海まで見えわたりて眺望すこぶる絶勝なり。山中に譲葉の樹木多し。ゆえに号(ナズク)くるなるべし』と記され、今も変わらない。海岸を洗う黒潮のお陰で、ユズリハ(写真下左)をはじめ冬でも落葉しない照葉樹にすっぽりと覆われ、南国ムードたっぷりの山であり、由緒ある神社である。ここから10分程で山頂に達したが、今日は曇天で、眺望すこぶる絶勝、というわけには行かなかった。ここから反対側の裏参道を降りると、諭鶴羽ダム他いくつかのダム湖があるのだが、今回はここで神社に折り返す事とする。無人だが広い清潔な休憩所があり、お茶のセルフサービスも可能で、ここで昼食となった。
 帰りは古道でなく新道とも言うべき「近畿自然歩道」を下る。距離的には三倍近い5.7kmなので、時間は同じだけかかったが、軽自動車まで可となっていて整備されており問題なく下山した。終わりに近づくと樹林がなくなり、人家と果樹園で眼下に海岸が見え、沼島が現れ、大変な急斜面に人々の生活があった。朝駐車した所に帰り、着替えて一件落着である。