中国のGDPと軍事費

先月刊行されたVoice誌上で中西輝政教授は、「人民解放軍が米軍を駆逐する日」と題して米中軍事先日刊バランスの決定的変容に警鐘を鳴らし、同時に、主要国が過去10年間軍事費を増額する中で、我国は減らし続けた唯一の国だと指摘し、自民党政権を含めた日本の政治の大失態を慨嘆している。同誌及び産経新聞紙上の記事から中国の軍備増強例をピックアップすると、まず海洋では、中国大陸沿岸防御から近海防御に打って出、2020年迄に第一列島線へ,最終的には小笠原列島からグアムに至る第二列島線へと突き進む計画だ。まずは潜水艦によって米国の空母の台湾接近を阻止する。次に、航空母艦5隻が2015年には実戦配備され、開発中のステルス性を保有する第5世代戦闘機が2020年までに配備されると、西太平洋の制空権の確立が可能となる。これで中国は米国と対等になり、太平洋を両国で分割統治するという中国の念願が達成されると言うわけだ。かくも不気味な軍事拡大路線をひた走る中国について、もちろん米国は10年前から「米中経済安保調査委員会」などで徹底して調べて来ており、アジアから遠い欧州各国でも安全保障の専門家を中心に「中国警戒論」が浮上しているのに対し、当事者である日本の感度は驚くほど鈍い。安全保障の危機を認識しようとしない当時の鳩山首相は外務・防衛省内で「ハトの耳に念仏」と呼ばれていたそうな。下の2図を見て頂きたい。よく言われているように、名目GDPで中国は今年日本を抜いた。そこで止めず、それと軌を一にした中国の軍事費の急増を我国メディアは報道すべきだろう。