パノラマ・トレイル(ヨセミテ その2)

 Ahwahnee Hotelの第一夜が明けて今回の最大事業に取り掛かる。5:30起床、登山支度を済ませ7:00ホテル前で渓谷内巡回バスに乗りショッピングエリア迄行く。食料品を買い込み、今日のトレイリング出発地点Glacier Point(GP)行きのバスに乗る。ほぼ満員のバスは8:30発、運転手はジグザグの登り道をハンドルを右左と切りながら進み、その間休みなく周辺の見所案内を続ける。一時間強かかって約1000m登り、標高2200mのGPに到着。ここは東西に延びたYosemite渓谷の南側岩峰にあり、ここから東方を遠望すればこれから目指すNevada滝(上)・Vernal滝(下)が認められた(写真は多分初夏撮影の絵葉書であり実際はこれほど水量豊富ではなかった)。息を呑む豪快な山容にしばし見とれたが先は長いのでトレイルを開始する。最初はこちら側の斜面を南方に向かって、左手に写真のような風景を見ながら斜めに460m下りて丁度12:00谷川に出た。ここはIllilouette 滝の上(1740m)であり、涸れているとは言え流れがあるので橋を渡り小休止。ここから登りになって160m上がるとPanorama Point に達しYosemite渓谷の奥部が眼下に見渡せる。松・樅・杉などの樹林の中の緩やかな登りを進んで13:20に一番高い地点(2020m)で休憩昼食。地図で見ると、3km先だが、眼前に写真左端のHalf Domeが迫っている。この休憩地点は写真の右端の高台だ。こういう時日本なら鮭・鱈子・昆布などのおにぎりで一気に疲労が回復するが、大味で雑なサンドでは何となく「さあ行こう」とならない。しかしそうも言っておれず後半戦開始だ。やがてこの高台から下る道になりNevada滝の上方に至る。当然ながら4km先の出発地点GPが遥かに望める。滝の上は広場になっており大勢の登山者が休息中。GP迄のバスには日本人客もそれなりに居たが、そこからバスで帰った人が大半で、ここまで来た人はいないようだ。靴を脱いで流れに入ってみるが、冷たくて長くは入って居られない。滝の落下開始地点直近まで近付けるようになっていて180m直下が見える。滝の脇に構築された石段がありそこを下りるのだが、かなりの急降下でかつ一段の高さが我々には高過ぎる。二本の杖を上手に使ってしっかり庇わないと膝を痛めそうだ。ここを無事こなして次はVernal滝。これも100mの滝で侮れず慎重に下りる。我々のように遥かGPからぐるっと回って来たのと違って、渓谷から直接この二つの滝を目指して往復する人も多く、急に混雑するようになる。滝を下り切って最後は1.6kmの樹林帯を歩いてHappy Islesと言うバス停に出る。トレイル全所要時間(休憩含む)は7時間、合計の歩行距離は13.7km、実質の歩行標高差は下り1250m、上り280mであった。ホテルに帰りシャワーを使い、夕食に出る。家内は長年秘めた念願を達成し満足至極のようだったが、私も日本の軽登山とは趣がかなり異なる豪快な景観に圧倒された一日ではあった。