尖閣・普天間問題つづき              

田中均氏講演や関連新聞報道を参考に、掲題の件につき私見を以下にまとめる。
1. 中国漁船の衝突事件に関し、田中氏同様私も無条件の船長釈放はまさかあるまいと思っていたが、そのまさかが起こってしまった。開いた口が塞がらないが、考えて見るとこの種の話は今に始まった事でなく、自国の安全保障を米国に依存しながら、それをすっかり忘れて基地を返してくれと叫ぶ一方で、中国からの嚇しにはめっぽう弱く、村山談話河野談話などで事ある毎に謝罪したり、総理の靖国神社参拝を取り止めたり、戦後早い時期から媚中外交を続けて来た延長上に本件もあるわけだ。政権が代わってもこの事は全く変わらないどころか、かえって一層拍車がかかっているようで、「国の尊厳を投げ捨てても、ひたすら日中間では事勿れを祈る」と言う現在の我国指導層(民主党のみならず、自民党の元総理にも同類が多かった)の実相なのだ。
 とすれば、本件のみならず中国との係わり方全般に共通の、日本の弱点を解消する必要があると認識しなければならない。不買運動が起ころうと、レアアースが入手困難になろうと、在中国邦人が逮捕されようと、びくともせず凜として居ようではないか。「国民の生活が第一」を叫ぶ低レベルの政治家に惑わされず、国の存立の危機だと認識し、少々ひもじくても「国の尊厳を保つのが第一」、が国民の合言葉にならなくてはならない。先の大戦後のGHQ占領政策で骨抜きにされて、忘れさせられたプライドを改めて思い起こす事から始めようではないか。反対に中国は、国民が食うや食わずの時代でも核兵器の開発を行って成功し、それをベースに米中二強時代を目前にして、これからの我国を見下そうとしているのだ。敵ながらあっぱれではないか。
本件についての私の意見は「粛々と起訴し裁判し罰金刑で迅速釈放」だった。中国の嚇しに対し「やるならやってみな」と菅総理に言ってもらいたかった。それでもし本当に国民が困って、支持率がとことん下がったら総辞職したらいい。私はそれ程下がらず、経済界も含め心ある国民は平和ボケから目覚めるのではと思う。世界からも「頼りになる日本だな」と見直されて期待が高まり、将来名総理として歴史に残るだろうに。それにしても、社会党のばりばりだった人物を官房長官にする民主党も困るし、メディアもその危険性につき警告しないのは不注意千万だ。
2. 普天間基地移設が日米で検討され、早い時期に「海上に代替施設を建設」が合意されたが実際には進まなかった。色々と理由はあるのだが、工事が始まれば全国の環境保護団体が集合し、自爆テロまがいの事件が起こるだろう事は目に見えていたし、それでは政権がもたない、と思われたのだろう。その懸念をぎりぎりクリヤーしたのが辺野古だったのだが鳩山が台無しにした。枯葉に火をつけた以上、「強行は困難」が沖縄のみならず、日本政府の実は本音ではなかろうか。そう考えると田中均氏の提案は無視すべきでなく、一つの現実的打開策だと私は一定の評価をしている。少々遠回りかも知れないが、急がば回れであり、「自分の国は自分で守る、いざとなれは海賊退治にもテロとの戦いにも出て行くのは当たり前だ」と言う事、具体的には「集団的自衛権はいつでも発動出来る」、が大方の国民の共通認識になり、漸減してばかりの防衛予算をGDP比1.5%に向かって増大し、米国との軍事同盟条約を更に強化し、日米韓の軍事演習を東シナ海で日本主導で行えるようにしなくてはならない。その暁には普天間は代替施設なしに返還され、海兵隊は韓国に移る。関連費用はすべて日本が受け持つ。国民を引っ張って行く政府の強いリーダーシップと覚醒した国民のフォロワーシップしか、この問題の解決策は無かろうと私は考える。